コンクールで本当に育てたいもの ― 結果よりも大切なこと

先日ブルグミュラーコンクール、11月東京大会水戸地区予選が行われました。
コンクールというと、どうしても「何位だったのか」「賞を取れたのか」という結果に目が向きがちです。

もちろん、目標を持って練習に励み、コンクールで良い結果を得られたら、それは大きな喜びです。これまでの努力が報われたと感じるでしょうし、自信にもつながると思います。

けれども、私はコンクールにおいて、結果と同じくらい、あるいはそれ以上に大切なものがあると考えています。

それは、本番までの過程で何を学び、どのように成長したか。そして、思いどおりの結果にならなかったとき、そこからどう立ち直るかということです。

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失敗しないことよりも、失敗から学ぶこと

近年、子どもたちを取り巻く環境では、できるだけ失敗や挫折を経験させないように、という考え方を感じることがあります。

もちろん、子どもが傷つかないように守ることも大切です。失敗して自信をなくしてしまう姿を見るのは、親にとっても指導者にとってもつらいものです。

しかし、これから先の人生において、失敗や挫折を一度も経験せずに過ごすことは難しいのではないでしょうか。

勉強でも、仕事でも、人間関係でも、努力したからといって必ず望んだ結果が得られるとは限りません。一生懸命に取り組んでも、うまくいかないことはあります。

だからこそ、子どもたちに必要なのは、失敗しないことだけを目指すのではなく、失敗したときに立ち直り、もう一度前を向く力なのだと思います。

心理学では、このような力を「レジリエンス」と呼びます。

レジリエンスとは、困難や失敗、挫折に直面したとき、落ち込んだり悩んだりしながらも、少しずつ気持ちを立て直し、再び前に進んでいく力のことです。

決して、失敗しても平気でいることでも、落ち込まないことでもありません。

悔しいときには悔しい。悲しいときには悲しい。

その気持ちを十分に感じたうえで、「次はどうしよう」「もう一度頑張ってみよう」と思えること。それこそが、大切な力なのではないでしょうか。

コンクールは、結果だけを競う場所ではない

コンクールに向けた練習は、決して楽なものではありません。

思うように弾けない日もあります。何度練習してもできない箇所があったり、緊張して本番で実力を出し切れなかったりすることもあります。

それでも、目標に向かって練習を積み重ね、自分の課題と向き合い、少しずつできることを増やしていく。

その過程には、たくさんの学びがあります。

以前は弾けなかった曲が弾けるようになる喜び。苦手な部分を克服できたときの達成感。途中で諦めずに努力を続けることの大切さ。

そして、コンクールでは、努力したからといって必ずしも期待どおりの結果が得られるわけではありません。

自分では精一杯頑張ったと思っていても、思うような評価を得られないこともあります。悔しくて涙が出ることもあるでしょう。

けれども、私はそんな経験も、子どもたちの成長にとって大切な意味を持つと考えています。

悔しいという気持ちは、それだけ真剣に取り組んできた証でもあります。

大切なのは、そこで「自分には才能がない」「もうやりたくない」とすべてを否定してしまうのではなく、「何が足りなかったのだろう」「次はどうすればよいのだろう」と考え、次の一歩につなげていくことです。

もちろん、すぐに気持ちを切り替えられなくても構いません。時間がかかってもいいのです。

悔しさを乗り越え、再びピアノに向かうことができたなら、それもまた、大きな成長だと思います

私がピアノを通して子どもたちに身につけてほしいのは、演奏技術だけではありません。

目標に向かって努力する力。自分の課題を見つけ、工夫しながら取り組む力。そして、うまくいかないときにも、自分を信じてもう一度挑戦する力です。

コンクールで賞を取ることができた子も、残念ながら思うような結果にならなかった子も、それぞれに得られるものがあります。結果だけでは測ることのできない成長が、必ずあるはずです。

そして、その成長は、ピアノの世界だけにとどまるものではありません。

大人になってからも、思いどおりにならないことや、自分の力不足を感じる場面はたくさんあるでしょう。そんなとき、これまで努力してきた経験や、悔しさを乗り越えた経験が、その子を支えてくれるかもしれません。

「あのときも頑張れたから、もう一度やってみよう」

そう思える経験を、ピアノを通して積み重ねてほしいと願っています。

コンクールで本当に育てたいもの。それは、賞を取る力だけではなく、思いどおりにならないときにも自分の力で立ち直り、また一歩を踏み出せる力なのです。

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